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くら寿司、ロボティクス活用での非接触型店舗実現の歴史

例えば水回収システムについて見てみよう。きっかけは利用者の声だった。それまでは食べた皿はテーブルの上に高く積み上げられ、その皿の枚数を店員が数えて会計していたが、テーブルに高く積みあがる皿をほかのお客にみられるのが恥ずかしいという声が利用者の間から広がっていた。  利用者が直接皿を返却するような仕組みを採用している回転すしチェーンは現在でもくら寿司以外にはないが、これを既存のやり方を改良して進めていってもいろいろ大きな問題が発生する。 例えば、回転すしチェーンは店員が皿の枚数を数えた後、それをトレーなどで集めて客席と厨房とをつなぐベルトコンベアのようなもので洗い場に運ぶ。しかしこれを客席まで広げると、商品のにおいが客席に広がってしまう恐れがある。 「だから自分たちで、『こんなことできないか』ということを考えて、やってもらえるような業者を探して提案したのです」(辻氏) ロス率改善で収益力をアップ 1997年2月には一定時間経過した回転レーンに流れている商品を安全のために廃棄し、新鮮でおいしいネタを提供するために、お皿の裏の高台の部分に取り付けたQRタグ(現在は抗菌寿司カバーに付いている)を厨房に設置しているカメラで横から読み込み、回転レーン上の商品の時間を管理する「時間制限管理システム」を導入した。 「それまで廃棄は1時間ごとに人が目視して確認していました。1996年に堺市でO-157による集団食中毒が発生し風評被害をすごく受けたのです。人の命にかかわる問題なので『人の目に頼っていてはダメ、機械を入れ、きちんと管理しよう』という話になったのです」(辻氏) しかし管理するだけではダメ。しっかりと管理していることを利用者にも理解してもらわなければならない。 「客席から見えるところにレーンを敷いて、時間がたった皿をベルトで引き込んで廃棄しているところをお客様が一目見てわかるようにしたのが自動廃棄システム(1999年4月導入)なのです。当時は食品偽装の問題などが社会問題化し、そうした問題にも企業としての姿勢をお客様に示したいという思いもあったと思います」(辻氏) ところが時間制限管理システムで厳しい時間管理を行ったことにより、廃棄ロスが増えてしまった。そこでくら寿司ではこの問題を解決するため、1998年に「製造管理システム」を導入した。これは食品ロスの削減を目指したものだ。 製造管理システムの仕組みはこうだ。利用者の滞在時間を3段階で分け、時間の経過ごとに消費される皿数(食べる量)を予想し、係数化して表示し、厨房に設置されたパネル画面に数値として表示する。くら寿司ではこの数値を「顧客係数」と呼び、いわば「お客様のおなかのすき具合」を数値に置き換え、見える化したものだ。その係数から、レーンに流す皿数や種類を、新人からベテランまで誰が見てもわかるようにしたことで、食品ロスを軽減することができた。また、スタッフは次に行うべきことが判断しやすくなり、さまざまな無駄を省くことにもつながっている。 くら寿司 お寿司の廃棄時間を教えてくれる「時間制限管理システム」と、レーンに流すべきお寿司の種類や量が見てわかる「製造管理システム」の2つのシステムを組み合わせることで、「商品鮮度の維持」と「廃棄ロスの低減」が両立でき、「低価格で高品質」の商品提供を実現した。 この製造管理システムの導入・進化により、元々12%だった廃棄率が約6%まで減少した。 「従来は、各店舗の店長が経験や感覚でレーンに流すお寿司の種類や量を決めていましたが、人によって精度にばらつきがありました。しかし、製造管理システムの導入により、 必要なタイミングで、必要な種類、必要な量を提供できるようになり、食品ロスの削減に繋がりました。また、食品ロスの軽減だけでなく、常に鮮度のよい商品がレーンを流れるようになるなど、CSの向上にも役立っています」(広報部、岡本愛理氏)女性) ただSARSやノロウイルスなどが一般にも知られるようになった2003年にくら寿司は一つの課題を突き付けられていた。 「時間制限管理システムで菌の増殖による食中毒の問題を解決したため、それまで使っていた使い捨てのカバーはいったん廃止されました。ところが社長が、『空気中のウイルスやほこりが舞う中で、カバーもなしにすしを回転させるのは衛生上どうなんだ』と指摘し、カバーが再びつけられるようになりました」(岡本氏) そして2011年11月に導入されたのがカバーを触れずに皿の出し入れができる抗菌すしカバー『鮮度くん』だ。 しかしお皿全体を包み込むような「鮮度くん」を導入したことで、皿の高台につけられたQRタグが読めなくなり、自動廃棄もできなくなった。...

エンタープライズアーキテクチャにまつわる6つの大罪

最も大きなメリットは一貫性かもしれません。スタッフ全員がテクニックや理論に慣れてれば、ソフトウェアを使いこなすのが容易になります。データやコードは(通常)構成されており、すべて予想できる場所に収まっています。 しかし人によっては多少行きすぎることもあります。ルールを採用するだけにとどまらず、狂信してしまうのです。スペックを徹底して読み、必ずルールに従って意思決定をしなければならなくなります。道から外れる者は災いなるかな。 全員がフレームワークを狂信し、オフィスの計画会議が喜んでルールに従う人たちで埋め尽くされていたとしても、別の問題が生まれることもあります。完璧なオープンソースコードであっても、自分たちが求めるアーキテクチャフレームワークに適合しないという理由だけでチームが拒否したり、ベンダーが優れたオプションを提供しても、適切な方向性のもとに開発されたものではないという理由だけで拒否してしまうこともあります。 何よりも方法論を遵守 フレームワークは構造を提供してくれますが、ずさんな行為や怠惰な行為、時には悪意のある行為の隠れ蓑になってしまうこともあります。チームの誰かが適切なTOGAFフォームに記入するのを待っているため、決定を長引かせてしまうこともあるかもしれません。改善を支援するルールと閉塞的な煩雑な手続きの違いは紙一重です。 以前一緒に仕事をしたある男性はアジャイル方法論の信者でそれをこじらせてしまったため、チームはアジャイルとは言えないもにになってしまいました。彼はミーティングでの儀式をすべて心得ており、先週書かれたばかりのコードをリファクタリングするために、数多くのストーリーポイントを「スプリント」に詰め込むのが得意でした。チームは、彼が納品することになっていたクレジットカードのチェックアウト方式の再構築においてそれほど速く動いているようには見えなかったのですが、各スプリントで獲得したアジャイルポイントのグラフを見るとオフィス内で最速に作業が進んでいるように見えました。 開発ワークフローを整理するためのなんらかの方法が必要です。プログラマーは、アジャイルかウォーターフォールかについて何日も延々と議論することができます。週末に1人だけで完了できない規模のプロジェクトであれば、なんらかの戦略が必要です。 目に見えるもの以上に方法論を信じるようになると問題が起こります。そうなると、賢いコーダーは、自分のコードがたいしたことをしなくてもシステムを操作して大きな成果を出してしまいます。 トレンドを追う(または無視する) 開発者は、エンタープライズアーキテクチャのための最新のアイディアやモデルに飛びつくのが大好きです。時には運よく新しいトレンドが彼らのニーズに合うこともあります。開発者のアプリケーションが、トレンドセッターが最初にそのアイディアを思い付くきっかけとなった良い例です。 しかしほとんどの場合、部分的にした当てはりません。ユースケースはトレンドに発想を与えたアプリケーションに似ているかもしれませんが、少々ごまかした後でのことです。一方、開発チームはそのコードをトレンドに合わせるために必死になっています。時には、完全に適合したコードの膨大なブロックが、以前流行っていた目標に合わせて書かれたというだけで破棄されてしまうこともあります。 ここで問題になるのは、流行を完全に無視することも命取りになるということです。確かに、ありがたいことに、コードは適切に機能するデータベースやフォーマット、コーディング標準、プロトコルを使い、当初のバージョンに忠実であり続けています。しかし、全世界が何らかのトレンドを追いかけたとしたら、すべてのベンダーやツールメーカー、将来の新入社員もそうしたことになります。トレンドや流行はある時点で標準となり、時にはもっとひどい場合は法的にコンプライアンスが義務付けられた要件となってしまいます。 エンタープライズアーキテクトに勝ち目はないということです。トレンドを追うと大衆が生み出す流行の奴隷になってしまい、トレンドを無視すると取り残されてしまいます。EAにできることは、トレンドを把握すべき組織の技術スタックやIT担当者のために、やるべき正しいことを慎重に行うしかないのです。 (more…)